ちっちゃく咲いた白い花びら
秋葉竹
君と僕の手と手を合わせて
世界の光を反射させよう
カゲのある微笑みでささやく
今朝の起きぬけの君の愛の言の葉
とても遠くから聴こえて
美しく透きとおっているかと思った
君を守るために
立ち上がった秋の虫の一匹は
ここに鳴き声をあげて
ガリガリガリガリと
僕の胸の骨をかじる
動かない肋骨を
削るみたいなものですから
言い捨て
なにも持たずに美しい君の顔を思い浮かべる
真実の光がその夜のちいさな祭りのあとに
悪い心に変わった僕の希望を
ひかり輝かせてくれたにしても
意地悪ということではないだろう
人生に終着駅なんてないからねって
あたたかな風が吹く
ちいさな失望の疼きを覚えつつ
明るい雨の中で
ずっと生きていきたいと願う僕は
その落ちる雨の速さに追いつけない
ちっちゃく咲いた花びらみたいに白いじゃないか
なんといってもね
動く心臓を棄てる狂気も僕のものですから
僕は君の持っている
すべての世界の哀しみを
代わりに感じ取って
幸せも不幸せも
笑い顔も泣き顔も
喜びも寂しさも
君の歌いすぎで掠れた
色っぽいけど幼い声を思い出しながら
大切な君をやさしく抱きしめるためだけに
世界を救おう
そして君の哀しみを消してしまおう
ねぇ
君と僕の手と手を合わせて
世界の光を乱反射させよう?