パンと紅茶
もっぷ

時には家の無い子になって

ずっと眺めていたい あの

お月さま ずっと ずっと

夜道にしゃがみこんで

ずっと眺めていたい あの

流れ星に 祈り ながら

暖かなストーブと

ささやかに パンと紅茶のこと

想いながら

学校に行けない子になってみたかった

あれは小1の時 給食抜きを初めてくらった日

廊下でしゃがみこんで おなか空かせていた

小学校の1年生が ね

おもちゃと縁の無い子だった

遊びはもっぱら あやとり だった

短い毛糸をこっそり籠からかっぱらい

授業中に遊んでいた

結果 廊下でしゃがみこんで 給食は抜き

おとなを憎んで 子どもの自分を憎んだ

力の無さに切なくなった

憎いおとなに早く 自分もなりたかった

でも ちゃんとしたおとなを目指したつもり

今 振り返って ああ とため息

駄目なおとなになったかな

「天知る 地知る 自分知る」

わたしの呪文 逃げないための

逃げる必要が無くなるための

でもな 忘れっぽいから な

時には家の無い子になって

ずっと眺めていたい あの

お月さま ずっと ずっと

夜道にしゃがみこんで

ずっと眺めていたい あの

流れ星に 祈り ながら

暖かなストーブと

ささやかに パンと紅茶のこと

想いながら




自由詩 パンと紅茶 Copyright もっぷ 2019-10-27 14:58:22
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