魔法
ミナト 螢

人の視線や
街のサイレンが
神経を尖らす
コンパス回し

中心のズレた
指輪のままで
鏡のない世界へ
行きたくなる

例えばそこに
森があるとしたら
外した指輪を
頭上に乗せるの

全ての役から
降りた私でも
冠があれば
女神になれると
真昼の夢だよね

濡れたバスタオル
乾かす太陽
匂いを連れて
願いを忘れた

両手に下げた
買い物袋を
のぞき込んだ子の
笑顔に答えるよ


自由詩 魔法 Copyright ミナト 螢 2019-10-22 06:30:13
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