忘れない―思惟の海にて
Giovanni

もし思惟が 
とこしえに水をたたえる
優しい一つの海であったなら
光輝く透明な波打ち際から
わたしの記憶のひとかけら
叫び声一息あげながら
思い切り投げうちたい

わたしの手を取りながら
あなたは信じている
あなたがこの世から
消えてしまうときにも
とこしえ一つ思惟の海
そこでわたしに
また巡り合えると

もし思惟が
とこしえに水をたたえる
優しい一つの海であったなら
幾兆もの思惟のうねりの渦から
あなたの記憶 わたしの記憶
すぐに見つけられるのかしら
すぐに出逢うことができるのかしら

わたしの記憶のひとかけら
思い切り 思い切って 
投げうちたい
そうしないと
とこしえ一つ思惟の海
わたしは泣いてしまうから



自由詩 忘れない―思惟の海にて Copyright Giovanni 2019-10-20 23:58:55
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