信玄堤
st

堤防決壊の原因を説明する

専門家の話は


誰が聴いても納得できるものだ


ボトルネックとかバックウォーターとか

蛇行の外側に加わる遠心力とか....


こんな簡単な原因で決壊して

幾千万の被災者が

はたして納得するだろうか?


海岸沿いの都市に

単純な分水路を

つくったりはしているが


やっている事といえば

このような幼稚なものだけだ


驚くのは

400年くらい前に

武田信玄が洪水対策としてつくった

信玄堤が今でも健在な事だ


その構造は複雑で

決壊した連続堤防のように

単純なものではない


あきれるのは


400年前のすぐれた発想を

なぜ生かせなかったのかということだ


「地下神殿」とも呼ばれている

「神田川・環状七号線地下調節池」だけが

信玄の思想が生きたものといえるが


もっと広範囲に

その発想を生かす努力を

するべきだった


温故知新のよい例がある


法隆寺の五重塔は

なぜ1300年間も

地震や台風で崩壊しなかったのか?


その理由は今でも完全には

わかっていないが


その「心柱制振」と呼ぶ構造が

柔構造理論の発想に使われ

高層ビルや

東京スカイツリーにも採用されている





自由詩 信玄堤 Copyright st 2019-10-17 12:20:00
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