何もかも
ゼロハチ
何もかもが変わった
私の呼吸はずいぶんと速くなったように思う
誰かの言葉を受け入れるとき
このように穏やかな風が吹くなんて
あなたが生きていた時に知っていたらと考えていた
最期の日記にはさようならの文字もなく
せめてもの温かな気持ちで消えるようにいなくなった
私は長い間
一体何と闘っていたのだろう
獣のように命を丸かじりするだけの日々
誰にも声など聞かせなかったのに
思いがけず優しいひとに出会ってしまった
私が一番怖かったのは
生まれてからずっとあなたを傷つけ続けた
その私が幸せになってしまうこと
なのに
あなたは笑うように遊ぶようにいってしまった
日記には私の知らなかったあなたがいた
誰のことも傷つけまいともがくあなたがいた
生き写しの私はあなたを傷つけ続けていたのに
これからの私を見せたかった
これからのあなたを見てみたかった
生きていることはこんなにも短く
美しいとはいえない瞬間ばかりで成り立っている
それでも世界を愛おしいと思える一瞬がある
何もかも変わってしまった
私はもう歩いていかなければならないのだろう