りんご王女の側近
la_feminite_nue(死に巫女)
風景画のように澄んだ風景のなかに、ゆれて。
りんご王女が顔を赤くするから、すこしうつむき──
ぼくは窓のそとを王女が眺めるままに、
王女の髪と景色とを見ていたんだ。
水彩画のように淡い風景のなかに、ゆれて。
ただよい、王女はやわらかに口をひらいた。
アレグレットからアダージョ、
アダージョからモデラートへ、王女の歌ははずむ。
たゆたう時間のなかに、ぼくはゆれて、
りんご王女がふしあわせを見ないように、祈っていた。
ぼくはたゆたう。王女とともに。
口ずさむ、彼女に合わせることはできないけれど、
こころのなかで、秘めやかな伴奏をする。
風景画のように明るい風景のなかに、ゆれて。
瞳をとざせば、なにもかもが聞こえる。
耳をおおえば、なにもかもが見えるのだろう……
ぼくはたゆたう、目をみひらいて。
王女は口ずさむ、髪をゆらせて。
アレグレットから、アダージョ。
アダージョから、アンダンテ。しずかに、自然な──。
すこしだけ、見えない。
すこしだけ、聴こえないよ。
風景画のように澄んだ風景のなかに、ゆれたら、
アレグレットから、アンダンテ。……いいえ、
りんご王女は、髪をさそわれて、風のなかへと、
ふみだしてゆき、そのまま、世界のそとへ……
アレグレットから、モデラート。
モデラートから、アンダンテ。しずかに、自然な、