未遂を繰り返す
こたきひろし
見えないもの
と
聞こえないもの
触れないもの
存在しない筈のないものが
眼を閉じると
姿をあらわしてくる
荒れ野は果てしなく
正体不明の光の輪が
暗闇の樹木の周囲を飛び回る
幻の布には
染みのように浮かびあがる
地図
足元の靴は
得たいの知れない泥にうまる
荒野は方角を持たない
繰り返し繰り返した
自死は
その度に
未遂のままに
老化した少年は
未だに
荒れ野をさ迷う
羊と何も変わらない
自由詩
未遂を繰り返す
Copyright
こたきひろし
2019-09-25 06:23:21