la_feminite_nue(死に巫女)

やすらかな、静けさと麗しさのかたよりのなかで、
彼はそっと目をしばたいたの。
そうして楽器を叩く。
若い彼は楽器をたたく。
 
塔のそとでは風がながれ、
落ち葉をはこんでゆく。
湖にしずむ入日になっても、
彼は、ふたたびよみがえったでしょうか……
 
秋のおわり、冬が生まれる日には、きっと、
……この塔の外壁にそっても、
光は、ころころと遡ってゆくのでしょう?
 
うつむいた目を、もういちど見上げるなら、
彼はそうしてまばたきを繰り返す、
飛行船になって。きっとどこかの地平へと。地平へと……


自由詩Copyright la_feminite_nue(死に巫女) 2019-09-24 10:35:37
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