塔
la_feminite_nue(死に巫女)
やすらかな、静けさと麗しさのかたよりのなかで、
彼はそっと目をしばたいたの。
そうして楽器を叩く。
若い彼は楽器をたたく。
塔のそとでは風がながれ、
落ち葉をはこんでゆく。
湖にしずむ入日になっても、
彼は、ふたたびよみがえったでしょうか……
秋のおわり、冬が生まれる日には、きっと、
……この塔の外壁にそっても、
光は、ころころと遡ってゆくのでしょう?
うつむいた目を、もういちど見上げるなら、
彼はそうしてまばたきを繰り返す、
飛行船になって。きっとどこかの地平へと。地平へと……