賢者の言い訳
HAL
世の中に無駄なものは
ひとつもないと賢者は言う
でも果たしてそうだろうか
ひとは自分を否定されたとき
言い訳をする
心配心に摩り替えて
媚びすら売る
それが自己肯定の逃げ口上であり
承認欲求の裏返しだということに
気がつきもせず
ぼくはそんなひとを知っている
そのひとの為に使った時間は
いまになって途轍もなく
無駄なことだったと漸くに気がつく
しかし賢者はきっとこう諭すだろう
それに気がついただけでも
無駄ではなかったのではないかと
でもぼくは思う
世の中には無駄なものはあると
そう言わないことこそが
賢者の摩り替えの言い訳ではないかと