すっぴん
もちはる

風呂上りに
歌舞伎フェイスパック
ほてる顔にぴたっと貼る
冷たいシート

目と口をそっと出す
鏡に現れたのは
赤い熊取の入った顔
この顔で表を歩けたら
「暫らく」と声をかけ
ポーズをとってあそぶ

疲れていた肌は
エキスが入り
ルンルン踊っている

シートをはがす
かえることができない
あの世まで持っていく顔
明日も 心地よい汗をかこう
ひんやりとした肌を
夜風がなでる

一刻は一輪の花
このすっぴんを
知るのはわたしだけ
線はくずれても
もっていたい
かがやき


自由詩 すっぴん Copyright もちはる 2019-09-16 08:38:59
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