未成年と成年のはざま
こたきひろし

ぜったい有るって信じてた
子供と大人の境界線

現実は
体がかってに大人になって
心はそれを必死に追いかけた

オールナイトの映画館は
成人映画ばかりを上映してた

体がかってに大人になって
心はそれを必死に追いかけていた

土曜の夜にアパートに帰らなかった
映画館で一夜を明かした

館内はいつも通り客は疎ら
そして
いつも通り男たちばかり

立ち込めた陰湿な空気
立ち込めた変な匂いからは
男たちの体臭が入り交じっているに違いなかった

十九と二十歳
その間に決定的な子供と大人の境界線はあったのか?

たしかに法的には
未成年と成年
それを祝う儀式はあったけれど

体はかってに大人になっていった
心はそれを必死に追いかけた

そのズレに誰だって苦しみもがいていた筈だ

すべては未熟だった

あの時代を
青春と呼ぶなんて
笑える





自由詩 未成年と成年のはざま Copyright こたきひろし 2019-09-16 07:03:19
notebook Home 戻る