過ぎゆく夏の
秋葉竹


突然の驟雨に 洗われた街は

なんだかとても色っぽくて

雨上がりの 空気の色を

すこしさみしげな 茜色に染めるのです

地に這う けものの しずかな息吹きが

いつのまにか しみわたる たそがれの街


「だから、死なない意味をください」


世の中の たけきけものたちよ

懺悔もできない罪の首すじを

神さまの御手が 病みながらでも

くるみこんでくださるとき

《新月が煌々と光り輝く》という

月の優しい嘘は

みるものすべてを勘違いさせたまま

世界を裏切りつづけることでしょう



新月は雲に乗り 秋に会えるけれど

真夏の夜空の 大きな三角形を

どうしてもみることができないままでしょう







自由詩 過ぎゆく夏の Copyright 秋葉竹 2019-09-12 07:08:57
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