拝啓、君と僕との思い出
都築あかり

この街中の君の残骸を拾い集める。
常に、常に、意識は君なんだよ。

これは僕にしかできない仕事であり、義務でさえあるのだ。

公園、海の見えるカフェ、コンビニ、駐車場、ゲームセンター。

君が死んでしまって、
僕と君だけの記憶は、
僕だけのモノになってしまったね。

君の身長や君の体温などもう忘れてしまったよ、ごめんね。

君はどこかから、こんな哀れな僕を見ているのかい。

それとも、もうそっちで僕なんかより
素敵な男性に魅了されている頃かな。

なんてね、君に届くはずもないので、
声に出すのはやめておくよ。

どうか、そっちでもお元気で。
いつか僕も、そっちへ行った時は、よろしく。

話したい事が両手からこぼれ落ちてしまいそうなんだ。

僕ももうそっちへ行ってもいいかな...


自由詩 拝啓、君と僕との思い出 Copyright 都築あかり 2019-09-11 03:15:25
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