いちばんきれいなころ
杏っ子

私には、いちばんきれいだったころがない。
女として充実したしあわせが女をきれいにさせるのだと私はしんじてる。
女として充実したしあわせをあじわうチャンスのようなものはあったのかもしれないが
いずれも棒にふった、そのチャンスどもを。
年をとり、私に結果残ったのはおろかさだけだ。
なんたるふしあわせだ。じこせきにんだ。
あいかわらずなおろかさをもてあまし、しあわせになれるなんて、ほぼふかのうだ。
わたしはジンセイできれいだったことがない。だからきれいに順番はつけられないが、
この先、女としていちばんきれいな時期がやってくるのかもしれない。
いちばんきれいにかがやく時期が。
私はせめてそれを経験してから散りたい。
しあわせの涙をながしてからこのよを去りたい。
どうですか、神さま。


自由詩 いちばんきれいなころ Copyright 杏っ子 2019-09-08 09:16:43
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