手首にかすり傷を
こたきひろし

誰にだって
少年か少女の時代はあった
筈さ

すっかり忘れてしまった
かもしれないけれど

もしかして
卒業アルバムの集合写真の中に
埃をかぶって埋もれてしまったかな

少年も少女も純粋無垢で
魂に汚れがないなんて
まるで新聞の折り込み広告みたいな
噂が巷に
流れてたっけ

それに反抗したのか
不良少年少女たちが
わざと街の目立つところに集団で
たむろしていた

悪行は
社会に隠れてするのがベストなのにさ

それにしても
不良少年少女って表現はすこぶる良くないらしいんだ
人間に不良品なんて有るわけないって
綺麗事並べたがる大人たちの言い分だけどね。

非行少年少女と呼ばれなくては
ならないんだとか

魂が純粋無垢であるがゆえに
非行に走るんだと
言いたいんだよ


話題は飛ぶけど

苛めるとか
虐められるとか
どっちに回るかは
運しだいかもしれなかった

いじめなんてなくなる訳ないってのが
大方の見解だしさ

俺なんか
センセにさとされたよ
虐められるお前にも
問題が有るって

人生のひとつの通過点
じっと耐えていろ
てのが真意らしかった

でもその限界が迫ってきたときは
買ったナイフで
カーターナイフで
手首あたり切ったもんさ

本当に切ったら
死んじゃうから
ほんのかすり傷程度にな


自由詩 手首にかすり傷を Copyright こたきひろし 2019-09-07 06:09:56
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