蝶々が宇宙を
こたきひろし

雄と雌の蝶々が交尾しながら
日向臭い宙を飛び回っていた

周囲はいちめんの花
公園のベンチ椅子は壊れかかっていた

私もいつか死ぬに違いないが
今は死にたくない

壊れかかったベンチ椅子に
か弱い男の体で
おそるおそる座っていた

もし
私の側に知らない女の体がすりよってきて
耳元で囁かれたら
きっとブレーキは効かなくなるだろうな

そこで人間の雄と雌が交尾を始めたら
それはそれで
綺麗だと思うけどさ

浮世絵にしたくなるくらい
神秘的で破滅的で
美しい絵画が仕上がるかもしれないな

私はすこぶる情緒不安定
感情の山川が起伏にとんでいる

妄想が好きで
荒唐無稽の物語を創るのが好きだ

蝶々が交尾しながら
生殖の宇宙空間へと飛んでいった





自由詩 蝶々が宇宙を Copyright こたきひろし 2019-08-17 21:26:14
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