夏の秘め事
長崎螢太

朝雨に濡れたアスファルト黒々と
道端の蝉夢を観ている


砂浜にポツンと置かれたサイダーの
ビンから透けた夏が去りゆく


階段にカサリと落ちてる抜け殻を
ポッケにしまう夏の秘め事


乱れ髪銀河のようだねキラキラと
月のひかりにそっと口づけ
 

ふたりは眠る終電の
並んで揺れるつり革に見守られて



短歌 夏の秘め事 Copyright 長崎螢太 2019-08-12 15:28:55
notebook Home 戻る  過去