ろうそく
丘白月
部屋の灯りを消して
薄暗い部屋で一人
蝋燭の炎の向こうを見る
私の影が部屋のあちこちで
おしゃべりをしてる
おだやかなオレンジ色の光が
部屋に充満している
窓をあけると
影達が手をつないで
楽しそうに出て行った
まって どこへ行くの
私も連れってちょうだい
そう言いかけたとき
風がやって来て
蝋燭の火を消した
私の命は今ここに残る
白い煙の中で
ぼんやりと漂っている
風が古い本を開いた
風が語るのは
月を捕まえる子猫の物語
私は星を見ながら
夜通し耳を傾ける
消えた蝋燭の代わりに
月が部屋を照らす
天井から万華鏡のように
私の影達が見つめてる