ろうそく
丘白月


部屋の灯りを消して
薄暗い部屋で一人
蝋燭の炎の向こうを見る

私の影が部屋のあちこちで
おしゃべりをしてる
おだやかなオレンジ色の光が
部屋に充満している

窓をあけると
影達が手をつないで
楽しそうに出て行った
まって どこへ行くの
私も連れってちょうだい

そう言いかけたとき
風がやって来て
蝋燭の火を消した

私の命は今ここに残る
白い煙の中で
ぼんやりと漂っている

風が古い本を開いた
風が語るのは
月を捕まえる子猫の物語

私は星を見ながら
夜通し耳を傾ける

消えた蝋燭の代わりに
月が部屋を照らす
天井から万華鏡のように
私の影達が見つめてる



自由詩 ろうそく Copyright 丘白月 2019-08-09 20:11:28
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