バニラクリームフラペチーノグランデ
末下りょう

だれかを待つ時間がだれかを想う時間に変わるスタバの女の子たちって砂場の女の子たちじゃん

しゃがんでパンツ汚してペタペタ固めたお城でアフタヌーンティー赤いスコップと小さなおててでほじくる穴に砂型セットでつくったケーキやお花をいっぱい投げ入れて砂がびっしり爪に入りこんだスタバの女の子たちって穴と砂の女王じゃん

世界はだれを好きとかだれがムカつくとかのおしゃべりちゅうのパンチラに満ちてる
男の子たちは女の子たちにからかわれて成長するしした
文明には女の子の歌と暇潰しとキャッキャが不可欠で
もしパパがどっかの秘密結社でも
秘密はママが自撮りで隠した乳首と盲腸の傷あとくらいって知ってるからつまんない
掘った穴に砂かけてごまかしても
意識高い系の女の子たちにクスクス笑われてはいおしまい

ソニックスのビンテージタンクトップをルーズに着こなすデカフェな谷間さらして太陽チュッパチャプスしてるワンレン太眉バブルがきれい
前髪かきあげ勝負ですって
頬杖ついたウィラード スコットは塗りすぎた日焼け止めで晩夏のバニラが味気なそ
ツインテールのペチャパイ娘が八重歯むきだし砂のお城に振りかざす拳はエンドレスサマーマッシブ

アソボっていってブラ線みせて居眠りしちゃうやめれない女の子たちの髪のわけめがスプラッタムービですぐ襲われる尻軽女のアソコの悲鳴みたい
とにかくビッチを噛みたがるゾンビに欠かせないショッピングモールで叫ばれたHopeとHome
フードコートに残された歯形と日焼け跡と穴を抜けてく風の音
いつか女の子が空から降ってくるっておもってた男の子たちが泣きだした

迷子のオサゲの女の子はサマーガウンのボタン穴に指突っ込んでひっぱって
服のどっかが破れる音させてママを呼ぶ
夏の経血が股をひろげたセイレーンの下半身で炎上するから
汚したパンツを脱いで丸めてバニラクリームフラペチーノめがけて投げつけて緑のストローに引っ掛かってくるくる揺れて
わたしたち敬虔さがなければ不浄にもなれないって
エンドレスサマーヌードアドレセンスはここにいない誰かをやっぱり思い出させて
裸になりたい女の子を
いつまでもションベン臭い砂場でひとりにさせちゃう

シャイニーで短絡的な夏の過ごしかたしか知らないし、いらないから


自由詩 バニラクリームフラペチーノグランデ Copyright 末下りょう 2019-08-09 00:24:06
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