風船葛の妖精
丘白月



誰も住んでいない洋館
夏になると妖精が来て
窓を開け一晩だけ過ごす

黄昏の光を吸って
庭からベランダまで
提灯が吊るされ
宴が用意される

世界中の色と香り
一つの言葉と慈愛
二つの気持ちと歌

すべて詰め込んだ風船葛
透けて見えるのは
眠る妖精

朝靄の庭に枯れた弦と
ハート模様の種が残され
小鳥は恋薬を配達する



自由詩 風船葛の妖精 Copyright 丘白月 2019-08-05 11:34:49
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