手毛
末下りょう

まだはやいと
手毛を抜いて
ハンドクリームを塗ると
夕星が棚引く

テフロンの夜空

そういえば
ぼくは椅子を持っていない
だれかぼくのところに来なくてはならない日が来たら
ぼくの骨でぼくの椅子を
一脚こしらえて
ぼくはテーブルのように棚引いていよう

乾いた口のなか うたかたの歌を繰り返してみせて
おいしい
お茶を
一杯

きれいな
手で
おもてなしするために


自由詩 手毛 Copyright 末下りょう 2019-08-03 13:24:36
notebook Home