渚鳥

誰かに訊きたかった

がぶりがぶりと食べ尽くし、飲みほしてしまいたいことがあった

母はグレーの装いをしている
冷たいものがすべて雨の温もりに溶かされている
雨空をコーヒーに映して言い訳を捏ねた

空から複雑に絡まり合った
古いアクセサリーの音がする
“してしまえばよかったのに”
ぶつぶつと切れ味悪く主観と客観の噛み合わないダンス

眠らせていた火を起こし
目を上げれば冬景色のスクリーンが散らかった公式を一つ残らず凍らす
ちっぽけな理由をむき出しにして
誰かに訊きたかった


自由詩Copyright 渚鳥 2019-08-01 13:52:05
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