熱気のただ中で
坂本瞳子

熱を含んだ空気が蔓延するこの部屋で
朽ちてしまう夢を見つつ
汗の滴に塗れた自らの項を疎ましく思い
枕に押し付けて乱暴に拭って
焦点の定まらない視線の矛先を探し続ける
涎も垂らしているのだろう
四肢を放り出したまま
もうなにがどうなってもいい
とにかくこの暑さから逃れたい
そうしてまた顔を枕に埋める
微睡むことすらできないこの夏真っ盛り
水を浴びるくらいで救われはしないであろう
ならばいっそのこと速やかに果ててしまいたいものだと
また束の間妄想を馳せる


自由詩 熱気のただ中で Copyright 坂本瞳子 2019-07-31 22:59:57
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