サレンダー
末下りょう
公園の枯れ枝を踏んで拠点のヤードに帰る
今夜もカレーだ
閉め忘れた窓 閉め忘れた蛇口 閉め忘れたガス栓 咲き忘れた花を
言葉が覚えている
小蠅が絶えない
部屋の
言葉が
モノが ノードを片っ端から落として浸水する床に水の都が浮かび上がる
濃度を増して揺れるガスとカーテン
可憐なカレンダー
夏の二日目のカレーはインターソーシャルなディストーション
きみには許しがたいことを見抜く感傷が備わっていた
蝉時雨と排水口のながい髪
真夏のサレンダー
幸せになりたくて人を好きになったわけじゃない