虹の卵
丘白月

あなたはシャボン玉

公園で噴水を見ていた

いつでも二人の場所だった
今日は一人きり
噴水を見てる

池の底には楓の葉が
貝殻のように沈み
赤く輝き
紅葉の海に変える

噴水にシャボンの泡が
透けて見える
子供が一生懸命に
空に向かって息を吹く

息から生まれるのは
丸い綺麗な
虹の卵

噴水を虹色に変えて
秋の空に向かって
揺れながら
私を見ている

空に辿り着いた
シャボン玉が
虹を生んで
池に映した

手のひらにやって来て
割れたシャボン玉から
君の香りがした

いつのまにか
子供たちはいなくなり
私は一人で

あの懐かしい
石鹸の匂いの中にいる



自由詩 虹の卵 Copyright 丘白月 2019-07-29 18:31:58
notebook Home 戻る