砂時計の妖精
丘白月


無言で落ちる砂
死に急ぐように落ちる砂
華麗に輝きながら落ちる砂

二度と戻らない時を過ぎ去り
見る者の心の隙間に溜まっていく
ああなんという早さで
落ちる時のカケラよ

私はそんな早さで
未来へ向かっているのか
やがて私の時間も
すべて落ちてしまうのか

川のように止まることなく
時の砂は運ばれて
海へ流れていくのだろう

辿り着くのは砂浜か
海の底か
どちらも時のお墓

星から落ちた夜光虫が
時の流れに感謝するように
海底の砂を光で抱いた

青白く光る妖精が
飛んできて
砂浜の粒を掴んで行った

「この砂は死んでいないよ」
たしかに聞こえた
妖精が私に伝えたかった言葉だろう

私は時の妖精に逢ったのかもしれない
もう寂しい気持ちにはならない

明日も私は生きていく
私は砂時計を引っ繰り返した



自由詩 砂時計の妖精 Copyright 丘白月 2019-07-28 21:41:51
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