猫と財布 5話
丘白月



池から溢れた光は森の四方へ

金色の空気が流れ
森に満ちていく

ミントは腕をすり抜けて
跳び下りた
そして
森に流れ込んだ光を見つめた

天国だよ
ここが天国だよ、トワ!
月が溶けて森に流れているよ
あの中にいるんだよ
僕は行くよ

待てよミント
まだわからないだろ
こんな森が天国なんて

ミントは財布を首から外した

聞こえるよ
歌ってる
誰か歌ってる

呼んでるよ
おねえちゃんだよ

池の畔に咲く露草の妖精に
ミントは財布を置いていく

これでぜんぶなんだ
お金は・・・これだけ

ミント待てよ幻だよ
おちつけ

幻でもいい
逢えるなら
僕には聞こえるよあの歌が
おねえちゃんの声が


*****
つづく



自由詩 猫と財布 5話 Copyright 丘白月 2019-07-26 21:13:07
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