復活唱歌(一名、カチューシャの唄)
ああああ

カチューシャ/かわい/や/わかれ/の/つら/さ


A
カチューシャ/はエカテリーナの愛称。
かわい/い女の子と出会った。彼女の名はエカテリーナ。カチューシャと呼んでくださいといった。男湯にこんなかわいい女の子がいるなんて思わなかった。周りの人はカチューシャが存在しないかのように振る舞っていた。ぼくも最初そうした。ただぼくは目があったときにそらさなかった。ただ目をそらさなかっただけだ。
や/は強く感嘆の意が込められる切れ字の代表格。
わかれ/てしまったの、とカチューシャは言った。お父さんと。
の/は主に体言にくっついて、動作や状態の主体を表したりする。
つら/い記憶は湯気の中に
さ/よなら。

B
カチューシャ/はエカテリーナの愛称。
かわい/そうに彼女はお父さんとはぐれてしまったらしい。ぼくも探すよ。どんな人? と彼女に尋ねると身長が2mあってすごく大きいと彼女は答えた。
や/はりそうか、とぼくは思った。なにせカチューシャ自身、天井に頭をぶつけそうなほど大きかったのだから。あなたに
わかれ/と言うのが無理な話かもしれないけど、いいかいカチューシャ、お父さんはもうかえってこない
の/と、カチューシャは一年前にお母さんにいわれた。
つら/い記憶は湯気の中に
さ/よなら。

C
カチューシャ/はエカテリーナの愛称。
かわい/いカチューシャはそれ以来ずっとお父さんを探している。ずっと背伸びして遠くを眺めていたので一年でだいぶ背が伸びた。
や/は強く感嘆の意が込められる切れ字の代表格。
わかれ/は簡単にはやってこない。
の/は主に体言にくっついて、動作や状態の主体を表したりする。
つら/い記憶は湯気の中に
さ/よなら。

D
カチューシャ/はエカテリーナの愛称。
かわい/いカチューシャや。かわいいカチューシャ
や/聞いておくれ。あなたに
わかれ/と言うのが無理な話かもしれないけど、いいかいカチューシャ、湯気
の/中で、人の姿がよく見えないだろう。でも目で見える世界より、この湯気でかすんだ世界のほうがずっと豊穣なんだよ。お父さんもきっとこの銭湯にいるよ。
つら/い記憶は湯気の中に
さ/よなら。


自由詩 復活唱歌(一名、カチューシャの唄) Copyright ああああ 2019-07-26 02:15:27
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