その夜
こたきひろし

その夜見た夢の中では
終始一睡もできなかった。

真っ青な大空の下で
気が遠くなっていた

真っ青な大空の下で
空中ブランコのイスにすわっていた

ブランコが大きく揺れるから
私の体は振り子になっていた

その夜
私が見た夢は
空中ブランコの夢だった

でも
夢の中では
舞台が直ぐに回る

私は
殺風景な部屋の中で
寝台の上に横たわっていた

私の側には
もう一人の私が立っていて
じっと私の顔を見おろしていた

どっちの私が本当の私なのか
わからない

もしかしたら
二人の私がそこに存在していたのかも

夢の中だから
何でも有るだろう

その夜
私は夢の中では
一睡もできなかった

しかしそれは何の不思議もなかった
と思う

夢はいつだって
覚めてはじめて夢だったんだと気づく仕掛けになってる

ふたたび
夢の舞台は元に戻り
空中ブランコになった

私は夢の中の空中ブランコで
宙に放り出されてしまった


同時に私は
花火のように打ち上がって
粉々に砕け散った

その時
はっと我にかえり
夢から覚めた

私は
身体中に寝汗をかいていた



自由詩 その夜 Copyright こたきひろし 2019-07-25 22:03:23
notebook Home