あなたは蝶だった
丘白月


シトラスの葉から
落ちないように
無重力の赤ちゃんが歩く

柑橘類の血を吸って成長する
妖精が蜜をたくわえた花を
森に咲かせて待っている

蝶は知っているだろうか
妖精は教えるのだろうか
水星の一日と同じ命だと

だから毎日水を吸うのだろうか
明日の命だと知らずに美しく飛んで
短い夏の一日を私は忘れない

蝶に逢ったら私は言う
綺麗だねと何度も

蝶の魂を理解したいから

今度この森に来る時は
もうあなたはいないけど

あなたの好きだった花を見つめる
あなたのように何度も



自由詩 あなたは蝶だった Copyright 丘白月 2019-07-24 20:05:52
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