古代のお墓
丘白月


枯れ葉の積もる森に
文字の消えた石が
鳥の声を聞く

古代の魂が消えることなく
森の天井にこだまする

胡桃の樹が森の水で
実を作り分け与える

今はもう誰もしらない
森を走り回った子供の声が
石から聞こえてくる

古代の森が消えることなく
魂が魂を呼んでいる
木漏れ陽が文字をなぞって揺れる

古代の文字を読んでほしいと
石の上に座ってる精霊が言う

ごめんねもう見えないよ
私は影になった溝をなぞる
風が落ち葉をはらう
涙が文字の上を流れていく

前世の私が一瞬現れて消えた
私の名前だと
そう感じた

何度生まれ変わったのだろう
私のお墓は
いくつ残っているのだろう

きっと知らず知らずのうちに
通り過ぎているのだろう



自由詩 古代のお墓 Copyright 丘白月 2019-07-19 20:51:23
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