妖精がいた夏
丘白月
また逢えたね
今年も一緒にいようね
夏休みが終わるまで
君は日々大人になるけれど
僕は子供のままだよ
海辺の町では
浦島草って呼ばれてたよ
君のママは百日草って言ったね
でも僕ら名前を呼んで遊んだね
僕はヨハンフリート
君はリネアリス
花が好きな女の子
この夏が最後の季節だと知ったら
君は泣くだろうか
最期の日に記憶を消して
去っていけばいいのだろうか
でも少しずつ
きっといつかリネアリスは
僕がいた夏を思い出す
僕は人になりたくて
君は妖精になりたいと言った
そんな最後の夏が始まった
僕の記憶を魂にとどめる夏が