妖精がいた夏
丘白月


また逢えたね
今年も一緒にいようね
夏休みが終わるまで

君は日々大人になるけれど
僕は子供のままだよ

海辺の町では
浦島草って呼ばれてたよ
君のママは百日草って言ったね

でも僕ら名前を呼んで遊んだね

僕はヨハンフリート

君はリネアリス
花が好きな女の子

この夏が最後の季節だと知ったら
君は泣くだろうか

最期の日に記憶を消して
去っていけばいいのだろうか

でも少しずつ
きっといつかリネアリスは
僕がいた夏を思い出す

僕は人になりたくて
君は妖精になりたいと言った

そんな最後の夏が始まった
僕の記憶を魂にとどめる夏が


自由詩 妖精がいた夏 Copyright 丘白月 2019-07-19 18:12:21
notebook Home 戻る