そよかぜと少女
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そよかぜが
うつくしい少女に
恋をした
その長い黒髪に
ふれたとき
あらいたての
シャンプーの残り香のような
フローラルな香りが
ただよい
その清潔感と無垢さが
たまらなく
好きになったから
いつかきづいてくれる
そんなはかない想いを胸に
いつも
少女のそばにいる
ある夏の日の午後
そよかぜに乗って
ただよう髪の香りに
少年がふり向き
とっても
気持ちが安らぐ香りだね
と
少女にはなしかける
二人は急速に
なかよくなってゆく
そよかぜのことなど
気にもせずに
そよかぜは
なきぬれたが
そんな時
少女の
ひそかなつぶやきが
聞こえてきた
そよかぜさん
ありがとう
と