夏空の幻想
丘白月


苦しいね
息ができないくらい
海の底にいるようだ

あの空を越えて
新鮮な空気が欲しい
鳥が魚のよう

朝日が底から昇り
天井に消えていく
眩しくて見えない

あんなに揺らめくのは
海を超えた場所だから
雲が水草のように増えていく

手のひらにツバメが
葉を一枚落として
四つ葉だと言った

ゆらゆら舞い上がり
飛んでいく葉を
私も追いかける

海の中なら羽根はいらない
こんなに軽く飛べる
吐く息が空に溜まっていく

鳥を追い越して
冷たい雲をぬけて
空の行き止りでノックする

磨りガラスの向こうで
太陽の近づく足音がする
そわそわする気持ちが熱くなる

抑えきれない想いが
自由さえ失くしていく
人魚のように

ドアがひらかれ
陽が漏れすべてが
ゆっくりと満たされていく



自由詩 夏空の幻想 Copyright 丘白月 2019-07-14 18:24:41
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