黄昏の境内で
丘白月


悲しい心の雨宿り

黄昏の半分は
行き場の無い気持ちの
荷物置き場

長い石段が
飽和状態まで濡れて
もう涙はたくさんと言う

眼の前で紫色した光が腰を下ろす
見上げると手が一つすっと伸びて
あの鳥居をくぐろうと言った

階段を滝のように
光が流れてくる
私をすり抜けていく

神様の声が聞こえた
境内の端で咲くツツジのように
ただ風にゆれて
優しい香りのような声が

誰かが鈴を鳴らしてる
何度も揺らして
何度も力いっぱい

大切な願い事が叶うように
赤く夕日で染まる境内に
鈴の音がいつまでも響いていた

神様が涙を拭くように




自由詩 黄昏の境内で Copyright 丘白月 2019-07-10 21:19:06
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