蝶のお葬式
丘白月


重く湿った風が流れる
雨の子が風の中で泣いている

黒く長い葬列

蟻の足元で降りて
葬列に参加する

あのとき雨が降っていれば
この蝶は飛ばなかったのに

あのとき雨が降っていれば
この子は行かなかったのに

ああなんと短い命
雨の子は花を咲かせたことを悔み

もう二度と人を信じないと誓った
もう二度と虹を生まないと誓った

雨の子は堰を切ったように哭いた

蟻は一生喪服を着るだろう
命を抱かないといけないから



自由詩 蝶のお葬式 Copyright 丘白月 2019-07-09 19:09:40
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