きみからのLINE
ふじりゅう

神経を疑うほど真っ白な画用紙の上で
朗読を続けている
またページがめくられて
1文字を読む度に文字が現れて、驚く

研ぎ澄まされた 刃渡り8センチのナイフで
ありがとうと記したら
お天気お姉さんがひとこと
今週は雨続きと ぽつりささやいた

あめ あられのような メッセージの渦の中
不格好なクロールで泳いでたら
胃にも肺にも雑念がどばどば入ってくる
立ち止まることは出来ない

きみからのLINEは
いつも微熱をもって迎える
無機質なメッセージとのギャップに
悶え苦しみながら
塗り薬のようにてのひらに
せなかに
ふとももに
びんかんなみみに
ベタベタになるほどきみを こすり付けてるんだよ

朗読が続けられている
大した意味もなく
大した理想もない ストーリー
朗読が思考を炒める
振り返れば 逆らえなかった稚魚が
大河を逆に進もうとしている

無断で俺の廃家へ押し入り
地熱発電を授けて帰ったきみ
崩れた木々や 音のしない家具類の隙間から
どうにか引き抜いたものは
何の思い入れもないコンパス
だからガタガタの円を
きみと 俺を それだけを囲んで
Uと鉛筆で下書きした

きみからの取り留めのないLINE
僕は微熱をアピール
白紙の上から言葉の大雨が降る
泳ぐ
振り返る どこ ここ どこ
雑なメッセージを ゆびで スクロールしながら
塗り薬の如く 性感帯のくびすじに
性感帯のまたに
性感帯のひとさしゆびに
性感帯のむねに
性感帯のほっぺに
性感帯のふくらはぎに
性感帯のおしりに
性感帯のしたさきに
性感帯のせぼねに
性感帯のくちびるに
性感帯のこころに
性感帯のしんぞうに
性感帯ののうずいに
性感帯のさいぼうに
ベタベタになるほどきみを吸い込んでいるんだよ!


自由詩 きみからのLINE Copyright ふじりゅう 2019-07-07 18:22:56
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