カモミールの妖精
丘白月
おはよう あなたも頑張るわね
ミツバチに声をかける
遠くの山に朝もやが残るなかで
カモミールを摘む
今年最初のハーブ摘み
庭いちめんに咲く白い花
金色のリンゴを陽に捧げ
甘い香りを風にのせる
花を摘んで葉を摘み
お茶を楽しみに笑顔が庭に咲く
あの人と向い合って
このお茶を入れてあげよう
きっと今日は訪ねて来る
私の誕生日だもの
あの人がすきだと言った
カモミールの咲く季節だから
ハーブの山が揺れる音がして
香りが旅立って行った
ミツバチが離れていく
振り向くと涙が出そうになった
おはよう 久しぶりだね
去年約束したね
一緒にカモミールを摘むって
腰まで隠れたハーブの中で
あの人が笑ってる
まるでカモミールの妖精のように