カモミールの妖精
丘白月


おはよう あなたも頑張るわね

ミツバチに声をかける

遠くの山に朝もやが残るなかで
カモミールを摘む

今年最初のハーブ摘み
庭いちめんに咲く白い花
金色のリンゴを陽に捧げ
甘い香りを風にのせる

花を摘んで葉を摘み
お茶を楽しみに笑顔が庭に咲く
あの人と向い合って
このお茶を入れてあげよう

きっと今日は訪ねて来る
私の誕生日だもの

あの人がすきだと言った
カモミールの咲く季節だから

ハーブの山が揺れる音がして
香りが旅立って行った
ミツバチが離れていく
振り向くと涙が出そうになった

おはよう 久しぶりだね
去年約束したね
一緒にカモミールを摘むって

腰まで隠れたハーブの中で
あの人が笑ってる
まるでカモミールの妖精のように




自由詩 カモミールの妖精 Copyright 丘白月 2019-07-04 17:41:03
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