入浴
八五郎


特別なことがなかった一日の終わりに

薄く張った汗を引き剥がす


それに刻まれた一日の疲労を

しばらく眺めて排水口に流す


のたくった髪の毛にすがるように

なかなかそれは流れて行かない


灰色の泡が 手招きをする

汚れた下水管を共に旅しようと


少し前ならそうしたかもしれないが

僕はすっかり気が晴れていたので


シャワーを強めてさようならをした

真新しい下着が 待っているから




自由詩 入浴 Copyright 八五郎 2019-07-03 11:47:46
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