剥き出し
帆場蔵人
そろりそろりと剥ごう
皮をつつつ、と剥ごう
夜を剥いで朝を剥いで
私というものが
どこでもない場所で剥き出しで
死んでいる、或いは
台所で皮を剥がれた
剥き出しの野菜や肉に混じって
切り分けられ、冷凍され鍋で
煮込まれ、皿に盛られて
要らぬ皮や脂はゴミ箱や
排水管に流されていく私というわたし
俺というおれ、だれかに喰われていく
無造作に噛み砕かれ、また噛まれもせずに
あらゆる場所ですべてが剥き出しに
なっていく、もう夜も朝も昼もなく
どこでもない場所を向いて
洗濯物に混じって剥かれた私の皮が
まるで人ごとのように下がっている
庭の飛び石の間で
ごろり、と無造作に
なにがあろうとも赤剥けくたびれ
俺は新鮮に死んでいたいのだ