夏の夢
DFW


あかるい蝶々のみちにひかれてまだ見ぬ息子がゆれていた
いとけない息子の息をわたしはきいていた

突堤のテトラポッドで男は根魚を釣っていた
その側で片耳の三毛猫がひなたを掘っていた

夏の傷口のような蛇が草むらに消えていく


あかるい蝶々のみちにひかれてまだ見ぬ息子がゆれていた
いとけない息子の息をわたしはきいていた
  
小さなつめたい足裏でわたしの足を踏むように
おいっちにおいっちにとゆれていた

夏の傷口のような蛇は草むらに消えていた



自由詩 夏の夢 Copyright DFW  2019-06-22 17:26:47
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