友のうた
コーリャ
カレンダーを
これから旅立つ友だちにもらって
廊下にかけた
それは
ラウンジの一人がけのソファに座ると
真正面にあって
ふとスマホから目を離したりすると
かつては真っ白な壁だったところに
なにかあるなと思って
いまさらのように気づく
それは日本の心 富士山と題された
富士山をあらゆる構図で収めた
美しい写真のついたカレンダーで
なんとなくダサいが
やっぱり富士山はキレイだ
酒好きだった友だちと一緒に買った
ウィスキーをロックで注いで
傾ける
ふとカレンダーが目に入り
それを火がつくまでみつめる
2月は28日までだったんだね
そんなの当たり前のことで
富士山はキレイで
人とはお別れしなきゃいけない
そんなのは当たり前のことで
強くなきゃいけない
美しくなきゃいけない
人に優しくなきゃいけない
大人だから
なにもかもに
責任をもたなきゃならない
夢を見ることや
いつか死ぬこと
そんなのも
当たり前のこと
神さまが
僕らに足をくれたのは
まだ見ぬ世界を進むため
そんな当たり前の
いろいろのことで
僕らはできてるのに
風が吹いて
カレンダーがめくれるうちに
なにもかもすっかり忘れて
ほんのすこしの
忘れられないことだけを思いながら
ぼくらは生きていくんだ