マチルダ  (その2)
Lucy

日が陰っているあいだのほうが
花の色は鮮やか
じりじり直射されると
ハレーションを引き起こす

風のない
霧雨の朝
すこしの水分
少しの明かりを
ゆっくりと開き切る手前の時を
深呼吸したい

終わらせるのは
いつも容易い
熱狂と野望は性急に過ぎ
抜け殻だけが残る
カラカラと
風に歌うのも良いけれど

もう少しの間
痛みと淋しさと嬉しさを
胸いっぱいに抱きかかえ
心の耳を
澄ませていたい




自由詩 マチルダ  (その2) Copyright Lucy 2019-06-19 17:29:51
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