ホームスイートホームなんてどこにもなかったから
モリマサ公
蒸発しては
降り注ぐをくりかえす水分が
皮膚のうちがわで行き場を見失って瞳から垂れてくる
しんじゃった友達との記憶が許可無くうろうろする現在
懐かしい鮮やかな
そのときその場所でした匂いを思い出せないまま
アイポッドにプラグインしたコードが揺れている
これを目撃している全員が善意や悪意をふりかざして空気のなかをすべっていく
とかいう時の気持ちの作り出す爆音とともに
ショーウィンドウの中の自分自身の顔がなくて
手も足も移ろいでどこでもない誰かになっていく バーカ
勝ち上がらなくてもオリジナルじゃなくても
中途半端なまんまで良かったんだよ
存在するたましいのオーラがぽやんと浮かぶ
両親に感謝してるのなんか恥ずかしくてごめんね
ある意味育ててくれた排気ガス深呼吸
だからなんなの
あんまり意味ない昼間だったね
加速していく永遠の退屈をきりとって
超えていく意味なんかひとつもなかった
残酷な風景の中をゆっくり細かく砕けながら漂い
ぽっかりと空いたあなみたいなわたしたちのその部分にゆっくりと埋まっていく
いつか駄目になる現実を
拾い集めてはする
いろんなこれがいいとか悪いとか
いかれたビニールシート的スカイの真ん中を
我々は残された時間をまとって
おんなじ場所を何度も何度も何度も通過していく
最初でも最後でもない物語
鏡のなかで
鼓膜ばかりが揺れている
その意味について考えて
窓ガラスの中に
沈んでいくあらゆる熱と光と闇
最高に生きてるすげーアホみたいな瞬間
わたしたちはもうどこだってよかった
かさかさの皮膚を誰かとつなげて結合
美しくしっとりした部分がつながって流動
かなしい部分は地上すべてに残されたそれぞれと融合
髪の毛がふわふわ
風に揺れている間
その意味について考えた
地上では?という疑問符を乗せて電車は走り出し
退屈とは?という定義の中にもスピードがあった
目を閉じる音がたくさんしている
ふらつく足元でガード下を横切る
残された
というか今日も生き延びてしまって
やたらやりたいことが
全く思い浮かばないまんま
しんじゃった友達との記憶が許可無くうろうろする現在
懐かしい鮮やかな
そのときその場所でした匂いを思い出せないまま
アスファルトをなでても
元に戻るものは何もなく
湿り気を帯びた柔らかい空気を
メッセージみたくときおり肺まで深く吸い込み
あいまいさと注意深さを行ったり来たりしながら
にじんでいく