そして、僕は詩を書き始めた。それが救いだと信じて。
竜門勇気

登校拒否
これは愉快な現象だ
少なくともそうでない人物にとっては

義務と課せられたことを
しないなんてすごく魅力的だ
僕だけ税金を払わないでいい
とか
僕だけ働かなくてもオーケー
とか
でも僕がしたことは違う
保護者がやらなきゃいけない義務を
僕がはねのけた

それはある日始まった
前兆はあったんだろうがわからない
靴を履けなくなった
学校へ行くための靴を身につけることができなくなった
なぜならそれは
不愉快を受け入れることだったからだ

前兆について考えてみよう
自転車に乗るのが嫌になった
その前で言えば
もっと前で言えば
机に鞄をかけるのが嫌だった
人がいる場所にうんざりしていたし
知らない人間が見知った人になっていくのが辛かった
なんで?
今はそう思う
僕は意固地で愚かであったから
新しく得ることは今あるものを薄めると思っていた

結局進学はしたのだが
そこで遅刻をしながらも卒業まではした
高卒はそれなりに後悔もしたが
自分が楽しいと思えることをし続けた結果だ
高校は僕と同じ奴がいっぱいいた
もし、君が同じだったら恐れることはない
競馬以外では口を一切聞かないやつ
下校時に死んだたぬきを持って帰って食ったやつ
本当に何もしゃべらないやつ
どのみち奴らと仲良くなる必要はない

動画サイトで”あなたへのおすすめ”を
だらだら見てる感じさ
勝手にもめて政治みたいなことも始めるぜ
触れることもできるし傍観者でいることもできる
勉強がいらない高校もたくさんある
必要なのは高卒の資格と十八歳の憂鬱
得れるなら手を伸ばせ
そうでない場合も十八歳の奴らから目を反らすな
人間は社会性のある動物?
それが後天的に得られるだけの知性があるだけだと気づくだろう

僕は、意固地の果てに詩を書き始めた
薄まり続ける経験が過程であると信じて
それは君が観測する世界の一部だし
場合によっては世界のすべてだ
感じたことは何もかも
いつか訪れる結果への式だと信じている
父を亡くしたときに思った
彼はすべてを証明して逝ったのだと
きっと何もかも辻褄を合わせていってしまったのだろうと
”しょうがないがな”そう言って眠りについた
どんな式があるのかわからない
受け入れて、失った

そして、しばらくしてまた詩を書き始めた
それは僕が僕として世界を捉え続けなければ
こいつらはすぐ形や意味も変えてしまうからだ
昨日の自分すらわかりはしないが
自分の詩は読むことができる
それが救いであると信じながら



自由詩 そして、僕は詩を書き始めた。それが救いだと信じて。 Copyright 竜門勇気 2019-06-12 16:12:12
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