赤鉛筆たちとギャンブラー
8月生まれのSt.レンクス


テレビの中で気が気でない

競走馬たちが駆けている

テレビの前で気が気でない

ソファーに父が掛けている

新聞に丸を書き終えた
赤鉛筆だって気が気でない

父にガジガジと咥えられて
持ち手のほうは欠けている

負けないでくれ

負けないでくれ

負けたらきっとまた

床に投げつけられて

コロコロ哀しく転がってしまう

彼は何にも悪くないのにと
思うだけの僕らも気が気でない

何でもいいから勝ってくれと
ソファーの下から賭けている



自由詩 赤鉛筆たちとギャンブラー Copyright 8月生まれのSt.レンクス 2019-06-12 07:55:03
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