虫
ルラ
ランドセルの 中
風の背を 乗せ
揺れる ブランコ
淋しい 音
割れた カスタネット
紫いろの 真珠
これを 彼女に
何千という 空の裾を截り
赤らむ 校舎の
大きな 時計が
十と 五年分の
六時を 指した
静かな 耳に
内から 響く
微熱の 訳文
少年の 炭酸
感傷と夕暮れの 衝突
胸か 夏か
俺が 虫だったら
もっと 鳴いているだろうさ
自由詩
虫
Copyright
ルラ
2019-06-08 19:19:35