虹色の白鳥
印あかり

【虹色の白鳥】

遠い海に、虹色の白鳥がいるという
羽はとろけるようにやわらかく
飛ぶようにはつくられていない

青い夜を泳ぎつづけて
ああ、まるでひとりぽっち
そういう思いに羽が沈みそうで

白鳥は泣きもせず
じっと浮かぶことにしたという



【琥珀のモンシロチョウ】

美しいよ、と言われても
わたしは白くなりたかったの

そう言って彼女は
曇った日差しの中へ羽を差し込めた



【青色のカブトムシ】

この角で
空を割ってしまえたらと
そう願うのでした

天使の影があちこちに落ちる
午後の草原でひとり
角を磨き続けるのでした

苦しくて
苦しくて
悲しくて


自由詩 虹色の白鳥 Copyright 印あかり 2019-06-07 19:58:38
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